曲目

頼政(よりまさ)

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Yorimasa

ストーリー

旅の僧が宇治の里を通りかかり美しい風景に見とれていると老人が現れ、様々な名所を教えさらに平等院に案内します。僧が平等院の庭が扇形に刈り込まれた芝を見つけ、その由来を尋ねると老人は平家との合戦に敗れた源頼政が自害した場所であり、今日がその合戦のあった日で、自分こそ頼政の霊であると名乗り消えてしまいます。(中入)

夜になると法師姿で甲冑を身に纏った頼政の霊が現れ、平家との合戦の有様を語って聞かせ、辞世の句を詠んで自害したことを語り、供養を僧に頼み姿を消します。

解 説

能「頼政」は「実盛」「朝長」と共に三修羅と呼ばれる難曲です。保元から平治にかけて源氏と平家の世情的にも屈折した時期に生き、源氏でありながらも平家に乗り換えたりして異例の三位まで出世した巧みな「武人」であり、また優れた「歌人」でした。「源三位頼政集」の勅撰集には多くの優れた歌が残されています。

その頼政が七十七歳の老齢に不遇の高倉宮を担ぎあげ平家討伐の企てをしますが敗れ、平等院にて自害します。「埋もれ木の花咲くことも無かりしに身のなる果ては哀れなりけり」この歌はこの曲のテーマであるとともに武人として、歌人として彼が最後を飾る「美意識」を感じさせるものです。宇治川の合戦の有様を床几に掛けながらダイナミックに語り、迫力ある地謡とお囃子の「闘い」も聞きどころです。

後シテの床几に腰掛けたままでの仕方話は他の「三修羅」とは違ったスケールの大きさを必要とし、シテは勿論地謡の「力」も大変必要で「演者」「地謡」「囃子」のまさしく三位一体でなければ成り立ちません。(どの曲もですが・・「三位」ということで・・・)

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