曲目

卒塔婆小町(そとばこまち)

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Sotobakomachi

ストーリー

高野山の僧(ワキ)が都へ上る途中、乞食老婆が卒塔婆に腰掛けているのでそれを咎めると老婆は素直に応じず仏法の奥義を並べて逆に僧達を言い負かしてしまう。僧が感服し名を問うと小野小町の成れの果てであった。小町は美しかった昔を偲び、今の落魄した境涯を嘆く。

ところが急変し狂乱状態になって僧に物を乞う。深草の少将の怨霊が憑いたのだった。小町は烏帽子、長絹を身にまとい少将の装いになり百夜通いの様を見せるが、やがて正気に戻り仏道に入ることを願う。

解 説

この曲は絶世の美と才能を兼ね備えた小野小町が老女になり乞食となった姿、心情を他の老女物のような夢幻能ではなく現在物としていかに表現していくかがとても難しい曲です。サシの謡の中でも「古は驕慢もっとも甚だしう。」と昔を懐かしみ、しかし「今は民間賤の女にさえきたなまれ。

諸人に恥をさらし」と今を嘆きます。また「あまりに苦しう候ほどに。これなる朽木に腰をかけて休まばやとおもい候」と卒塔婆にとは気づかず本当に疲れて腰掛けたと思われます。

しかしそれを僧に咎められると一転して小町のプライドがそれを認めず僧を言い負かせるところや、今も尚深草の少将の怨念が憑くところに百歳になっても全く衰えないと言うか抜けきらない小町の気位の高さと恋慕に悩まされるところには「生命」というのを感じます。

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