曲目

三輪(みわ)

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Miwa

ストーリー

大和の国(奈良県)三輪山に山居している玄賓僧都(ワキ)のもとに毎日樒や仏前に供える水を持って訪れる女がいました。ある日女は僧都に衣を一枚所望します。不審に思った僧都が衣を与え住家をたずねると古今集の歌を引き「杉立てる門を印にお訪ね下さい」と消え失せます。(中入)

三輪明神へ日参の所の人(アイ)が神前の杉の枝に僧都の衣がかかっていると知らせます。僧都は杉に懸っている衣を見ると、金色の文字の神詠が書かれていました。すると杉の間から妙なる声が聞こえ、三輪明神(後シテ)が巫女の姿かりて現れ、三輪の神話を語り、神代の天の岩戸の神楽を見せます。

やがて夜も白々と明け僧の夢も名残惜しげに覚めていきます。

解 説

能「三輪」の前シテは里の女ですが実は三輪明神の化身です。後シテの三輪明神は男神であるにも関わらず女神として現れます。ですから三輪明神は女なのかと思ってしまいますが、明神なので男に決まっていますし、三輪山の祭神は「大物主大神(おおものぬしのおおかみ)」配祀は「大己貴神(おおなむちのかみ))「少彦名神(すくなひこなのかみ)」です。「大物主大神」は自身を三輪山に祭るように命じ、それで三輪山自体が神体となり三輪山崇拝が始まったとされます。

この曲の難しいところは演者も観客も「役」と「作り物」の変化にもあります。前シテでは「里の女」ですが実は「三輪明神の化身」作り物は「神木」を表わし、後半その「神木」より「三輪明神が巫女の姿となって現れ」、クセの太古の神婚説話を語る場面では「その男女」、作り物は「蛇神の住処に」変わり、そのあと巫女が神楽を舞うのです。

神楽の後は神代の世界へと遡ってゆき、天照大神が岩戸に隠れ八百万の神たちが嘆く世界をあらわします。このとき巫女は「天照大神」に、作り物は「岩戸」に変わります。でもいろいろ申しました実際演じる側は、型として堅実で美しいものを淡々と清楚に勤めることではないかと思います。

また「三輪」は小書が付くと吉田神道の影響からか、囃子事に関する秘事口伝が複雑に加わり、各流独自の重い習の小書があります。観世流では「誓納」、「白式神神楽」など、金剛流では「神道」、金春流では近年ですが「三光」があり。喜多流では「神遊」があります。宝生流のみ特殊小書を持ちませんが、そこには何か特別な理由があるかもしれません。

「三輪」は四番目ものですが、何となく脇能的な要素も多い曲と思えます。宗教的なメッセージを多分に持ちながらも、「芸能」本来を観て楽しんでいただくという要素が強い能と言えます。

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