曲目

三井寺(みいでら)

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Midera

ストーリー

近江八景の一つである三井の晩鐘を舞台に据え、母と子の再会を情緒豊かに描く狂女物の名作。さらわれてしまった子を捜しに、遠く駿河の清見が関より京の清水寺まで来た母は、霊夢に聞いたお告げに従い、三井寺を訪ねます。時は十五夜、寺の僧達は庭に出て月見を楽しんでいます。

今は狂女となった母は、僧の咎めを古詩で返し、子を思って鐘を撞きます。その鐘の音に感じ入った僧の小姓・千満丸の頼みにより僧が母の在所を聞くことによって、千満丸と母子であると分かります。母子は再会を喜び、故郷へと帰って行きます。名所づくしと鐘づくしの謡が聞きどころです。

解 説

この能はいわゆる狂女物で他の狂女物とよく似ていますが、その中でも「親子愛」の狂乱物です。ですが子を捜し求める女性が、鐘の名所である三井寺の鐘を、中秋の名月に衝かせることが曲の中心といってもいいでしょう。また劇の効果を高めるために前後のアイ狂言の活躍と鐘楼(作り物)があります。

前アイは夢占いでシテを三井寺に導き、後アイは境内に引き入れ鐘を衝かせます。また鐘を衝く擬音語「ジャモ~ンジャモ~ン」って言うのも風情があって面白い演出です。作り物の鐘自体は15センチほどの玩具みたいなものですが見る側のご厚意による遠近法の賜物?によって存在感のある脇役になっています。

しかし、狂女物の主人公はどれもインテリと申しますか、物事をよく知った理論家で詩的空想に富んでるなぁとつくづく(鐘故に・・・)思います。

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