曲目

俊成忠度(しゅんぜいただのり)

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ストーリー

岡部六弥太(ワキ)は一ノ谷の合戦にて忠度を討ち取ったが形見の短冊を持ち、忠度の和歌の師である五条三位藤原俊成(ツレ)のもとを訪ねた。短冊には「旅宿の花」という題で「行き暮れて木の下蔭を宿とせば花や今宵の主ならまし」と書かれてあった。

文武二道に優れた忠度を偲び弔っていると忠度の霊(シテ)が現れ、「千載集」に「読み人知らず」と書かれたことを恨めしいと訴える。俊成は朝敵の名を出すにはいかず隠したがこの歌の名は隠れることはあるまいと答える。そして和歌の始や和歌の徳について語り合う内に突然気色が変わり修羅道の苦患が彼を襲う。

しかし忠度の歌「さざ波や志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな」に梵天も感じ、剣の責めも逃れて春の夜も白々と明ける内に姿を静に消していきます。

解 説
この曲は「忠度」、「現在忠度」(金剛流のみ)、と同じ様な内容で他に類を見ない三曲もあります。「忠度」は彼の死後、俊成の身内の者の前に現れ俊成の子定家に自分の名前を載せるよう伝言を頼み最後の有様を見せ、

「現在忠度」では彼の生前の物語で「さざ波や~」の歌を「千載集」に載せるよう俊成に頼み酒宴にて相舞を舞い、戦に行くと言ったものでいずれにせよ彼の和歌に対する自我の誇示というか「凄まじい執念」が感じられます。

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