難波(なにわ)
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能楽師 梅若基徳
Kagekiyo
ストーリー
源平の戦で敗れた平家の武将・悪七兵衛景清(シテ)は源氏の治める世界が許せなく自ら盲人となり、日向の国への流罪となります。そこには昔の勇将の面影はありません。そこへ娘の人丸(ツレ)が鎌倉より父を案じ訪れます。
我が身を恥じて一度は親子の再会を拒む景清でしたが、里人(ワキ)の計らいで涙の対面を果たし、娘に請われるまま源平合戦での武勇伝を語ります。しかし語り終えた父と娘には別れの時が訪れ、彼はまた暗闇の自分の世界に帰ります。
解 説
平家物語を題材にはしていますが、当時の伝説と作者の創作でしょうが,素晴らしく哲学的で奥が深い曲です。主人公悪七兵衛景清は平家滅亡後も頼朝の命を狙いますが(1回目は能「大仏供養」の東大寺、2回目は般若寺、3回目は清水寺。書物では37回!執念深いですネ)結局源氏に捕らえられ、自ら盲目になり宮崎に流されます。
ただ他の舞曲では頼朝と和解して観音の霊験によって目が開いてしまうんです(笑)。能は違い、自ら光を見る事を許さず時間感覚のない暗黒の世界に閉じこもり、乞食になりながらも昔の無骨さを捨てずに生きる老人です。再会しても一緒に暮らすことを望まず、また閉鎖された精神世界に入っていく彼の姿に考えさせられます。