花筐(はながたみ)
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能楽師 梅若基徳
Syouki
ストーリー
中国の終南山の麓に住む者(ワキ)は都へ上る途中、異様な者(シテ)に呼び止められる。男は昔悪鬼を滅ぼす誓いを立てた鍾馗の霊であると名のり、しかしながら進士の試験に落第し御殿の階段で頭を打ち付け自殺したが死後及第の恩赦を受けて、その報恩に今は執心の心を改め国土を守護しているのだと言う。
そして人の一生の儚さや世の無常さを説き、本当の姿を見せようと虚空に上って消え失せた(中入)やがて法華経を読み鍾馗の霊を弔っていると鍾馗(後シテ)が宝剣を持って現れ、世の乱れをなす悪鬼をずたずたに斬り国土を鎮める様を見せる。
解 説
この能は短編ながら「及第」ということで若手のステップアップの為の演能が多い曲です。鍾馗の目指した「進士」とは唐の時代官吏の登用試験の学位でその及第は「秀才」「明経」「俊士」などがあり、「進士」はその中で最高学位であったそうです。
またその試験に落第した鍾馗がどのようにして宮廷の悪魔退治の神になり、現在端午の節句に奉られ崇められていったのか興味深いところです。