鉄輪(かなわ)
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能楽師 梅若基徳
ストーリー
貧困のためやむなく別居していた日下左衛門夫妻であったが、妻(ツレ)は都の貴人の乳母となり、従者(ワキ)を連れ里帰りをする。所の者(アイ)に左衛門の行方を尋ねるが判らず、従者は慰めるために浜市にいる面白い芦売りの男を見に赴く。
その男(シテ)は今の身を嘆きながらも一行に芦と葦との違いや「笠之段」と呼ばれる芸尽くしの舞を見せる。やがて輿の中の乳母に芦を持ってくるように言われ、相手の顔を見ると妻であった。
男は身を恥じて小屋の中に隠れるが、互いの離別の心中を語り合い再会する(物着)再会の目出度い宴席となり烏帽子直垂に着替え悦びの舞を舞い夫婦連れ立って都へ帰る。
解 説
この「芦刈」の能は梅若家では大変大事にしている曲です。文明十三年(一四八一年)梅津兵庫頭景久が十六歳の時禁中に召され、後土御門天皇の御前にて舞い、若年なのに良く舞ったということで「若」の一字を賜り、それより「梅若」となったと記録があります。