曲目

鵺(ぬえ)

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NUe

ストーリー

旅僧(ワキ)が熊野三山(那智、速玉、本宮)に詣でた後、兵庫県の芦屋に着く。日も暮れたので所の者(アイ)に宿を借りようとするが貸してくれず、所の者の忠告も聞かず不気味な御堂に泊まることにする。すると夜更けに洞舟(木をくり貫いた舟)に乗った怪しい者(シテ)が現れる。

その怪しい者は自分が「鵺」の亡霊であることを明かし、その時の有様を語り出す。第七十六代天皇の近衛院の御代に、帝が丑三つ時毎夜苦しまれるのだが、貴僧、高僧がいくら祈祷しても全く効果がない。その苦しまれる時は必ず東三条の方角より黒雲が覆うのでおそらく妖怪の仕業であろうと頼政に退治を命ずる。

頼政は猪の早太一人を連れてその時をじっと待っていた。案の定丑三つ時に黒雲が現れ、妖怪の気配を感じた頼政は心に祈念して矢を放つと命中し、その妖怪が雲より落ちたところを猪の早太がとどめを刺し、灯を灯して見てみると頭は猿、尾は蛇、足手は虎のようで鳴く声が鵺に似た恐ろしい妖怪だった。

そう語るとその怪しき者は鵺のような声を上げ波間に消えていった。(中入)僧が読経すると鵺が現れ、頼政に討たれた有様を僧に見せやがて姿を消す。

解 説

この能は前半の語りと後半の仕方話による写実が面白い作りになっています。能ではよく使う方法なのですが、鵺本人が語ったり動作で表すのに「鵺本人」「猪の早太」「頼政」と自在に人物を代えて表現していきます。(展開が早く見ている方も人物の変化についていくのが大変ですがスイッチを切り替えてついて来て下さい)

技術的にも「流れ足」などで橋掛かりまで舞台を大きく使い、型のキレや的確さがとても必要な曲です。

「白頭」などでは動きも少なくなり気迫での描写になりますが、この曲に関しては個人的ですが「小書」なしの「赤頭」が壮快でいいと思います。やる方は体力的には大変ですが・・。

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