曲目

鉄輪(かなわ)

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Kanawa

ストーリー

女性は怖い!怖い!でも男性も悪いかな…?

自分を捨て、若い女を新しく妻に迎えた浮気な夫を恨んで、毎夜貴船神社に祈願に通う女がいた。ある時、「頭に鉄輪(五徳)を逆さに立て、その三脚にろうそくを灯し、顔に朱を塗り、赤い着物をまとえば鬼となり、恨みを晴らせる」という神の告げがあり、そのようなことはできないと思いながらも、次第に女の形相は変貌していく。

夫は悪夢に悩まされ続けるので、陰陽師・安倍晴明に占ってもらうと、元の妻の恨みで今夜にも殺されるだろうと聞き仰天し、晴明に何とか救ってほしいと頼む。晴明が祭壇を立て祈る中、鬼と化した女が現れ、元の夫を取り殺そうとするも、晴明の祈りの力に負け、姿を消す。

解 説

この能はもう無茶苦茶生々しく、露骨な怒りで陰湿です。自分を捨てて再婚した夫を恨み、草木も眠る丑三ツ刻に祈願<いわゆる「丑の刻詣」>して、夫と相手の女を殺そうとする…怖すぎます!

「あるときは恋しくまたは恨めしく~」「命は今宵ぞ~」、ああ、なんか自分に言われているような気が……ウソですよ!我が家に限ってそんなことはない!…と思う…? 話が脱線しすぎたので戻ります。

貴船神社の社人がその女性に「赤い着物を着、顔を赤く塗り、頭に鉄輪を載せて先に火を灯し、怒る心を持てば鬼になれる」(この格好ができるというだけでも十分すぎる!)と言われ、否定はしてみるものの、すぐに実践して本当に鬼になるのも恐ろしいことです。

鉄輪とは五徳(ごとく・囲炉裏、火鉢などでナベを置くのに使う台)のことです。これも現代ではあまり使わない物になってしまいましたね。また後段で鬼となった時に使用する面には「橋姫」「生成り」がありますが、この「生成り」という面は人が鬼(般若等)になる手前の顔なのですが、これがなんともコミカルで締まりがなく、「能面」じゃないなと思うのは僕だけでしょうか?

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