曲目

蝉丸(せみまる)

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Semimaru

ストーリー

醍醐天皇の第四皇子・蝉丸(ツレ)は幼い日に両眼の光を失い、父帝は蝉丸の後生を助けるためと称し、廷臣・清貫(ワキ)に命じて蝉丸を逢坂山に捨てさせる。清貫は蝉丸を剃髪させ、蓑と笠と杖を置いて立ち去る。ただ一人琵琶を抱いて泣き伏す蝉丸だったが、博雅の三位(アイ)によって藁屋を与えられ、そこで暮らすこととなる。

一方、同じく醍醐帝の第三皇女・逆髪(シテ)は、髪が逆さまに生えるという奇病のため都を追われ、心乱れてさまよううち、逢坂山に入る。村雨が降る物寂しい夜にどこからともなく聞こえる琵琶の音にひかれ、藁屋まで来て見ると、そこには弟宮・蝉丸の姿があった。

姉弟は手に手を取り合い、再会を喜びあうと同時に互いの不運を嘆く。しかし、いつまでも名残は尽きないと、やがて姉は旅立ち、弟は姉の足音が聞こえなくなるまで見送るのであった。

解 説

逆髪というのは、どうも今で言う天然パーマのことのようです。盲目の弟と奇病の姉。二人が偶然遭い互いの不運を嘆き悲しみますが、しかし、いつまでもそうすることも出来ずやがて二人は別れていきます。

皇族の悲運を扱っているため内容的にも一時上演禁止だったようです。狂女ものとしては異例の構成で、狂女とはいえ演じる上では品位が必要とされます。動きは少ないですが、全体に詩情が漂う名曲です。

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