曲目

実盛(さねもり)

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Sanemori

ストーリー

説法の場に里人(アイ)が登場し、上人が連日説法の途中で独り言を云うので今日は訳を尋ねてみようと言います。上人達の説法の場へ老人(前シテ)が現れ(ワキにしか見えない設定です)鉦の音や念仏に耳を澄ませ合掌します。上人は毎日説法を聴きにやって来る老人に名を尋ねると老人は周りの人を払い退けるよう願った後、斉藤別當実盛の話を始めます。

そして自分は実盛の幽霊で、二百年経っても成仏できずにこの世に留まっていると言うと姿を消します。(中入)夜、上人達が篠原の池の辺で供養をすると実盛(後シテ)が弔いに感謝し現れます。平維盛が木曽義仲に破れた篠原の合戦で老武者実盛は退却もせず、ただ一騎奮戦するも木曽方の手塚太郎光盛と組み最後は討死します。

白髪を鬢髭までも黒く染めた姿で、大将かと見れば続く軍勢もなく、侍かと思えば錦の直垂の大将軍の装い、決して名を明かさないので不思議に思った光盛は義仲に首を差し出します。首を洗うと白髪姿の実盛だったのです。実盛を知る樋口次郎は一目みて「あなむざんや」と嘆きます。前主君源義朝に拝領した兜を付け、現主君平宗盛に許された出で立ちで故郷に錦を飾った実盛。老武者は最期の様を仕方話で語り、我が身を弔ってほしいと頼み消えていきます。

解 説

『老木に花の咲かんが如し』世阿弥があらわした能の奥義であり、まさに実盛の姿でもあります。かつて命を助けた義仲の情にすがらぬけなげな最期に、後世の芭蕉も「むざんやな甲の下のきりぎりす」と嘆いています。

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