曲目

善界(ぜがい)

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Zegai

ストーリー

中国の天狗のドン善界坊は中国において、高慢な心を持つ者を皆天狗道(邪道)に誘い入れたので今度は日本に渡り、日本の仏法を妨害しようと愛宕山の天狗太郎坊を訪ねて相談します。そこでまず比叡山を狙うことを決めて飛び去ります。《中入》

やがて勅命を受け、山を降りていく途中の比叡山の僧正達の前に善界坊が現れ、邪教を説き僧達を魔道に誘い入れようとします。しかし、僧正が不動明王に祈り始めると、明王諸天、山王権現、神々まで現れ、神風も起きてさすがの善界坊も力尽きて仏力と神力が盛んな日本には再び襲わないことを誓い逃げ去ります。

解 説

他流では是界、是我界とも書きます。能における「天狗物」(鞍馬天狗を除く)はどれも少し自己中心的でコミカルな天狗が多く、相談している太郎坊も絶対敵わないと思って人間との共存を目指しているように見えます。人間の「欲」というものを自分と照らし合わせながら見られる曲であると言えます。

真剣なんですけど、なにかコミカルな能です。シテの善界坊は慢心の極致に達してます。そこで日本も征服しちゃえってことで訪日して太郎坊と相談するわけですが、太郎坊はあんまり乗り気じゃないんですね。負けるんじゃないかって(笑)でもまぁ道案内ぐらいはってことで比叡山を教えます。

あとの比叡山に太郎坊は付いて来ません。ひょっとしたら比叡山の影に隠れて「あいつバカだなぁ。勝てる訳ないよ」って見てたかも知れませんネ。私も以前、この曲を勤めさせていただきましたが、その時の体調がすぐれなかったのかもしれませんがムチャムチャしんどかったことを覚えてます。

この曲は動きが多く、しかも『大ベシミ』と言う口の塞がった面をつけるので思うように呼吸もままならず、声も前に通らず自分の声で耳も痛くて大変だったです(笑)でも天狗物の中でまたやりたいなと思う面白い曲です。

「白頭」の小書がつくと緩急に富み、天狗の力強さが一層強調されます。

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