曲目

善知鳥(うとう)

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Utou

ストーリー

「阿漕」「鵜飼」と共に三卑賎(さんひせん)と称されています。その中でも特に陰惨な印象の濃い、執心物の代表作と言われています。霊山である立山に修行に登った僧は、地獄の景さながらを見、悟るところあって下山すると、一人の老人に呼びとめられます。

老人は、「もし、陸奥の外の浜へ立ち寄ったなら、残る妻子にこの蓑笠を手渡してほしい」と哀願して、夫である証にと片袖を預けるのでした。僧が陸奥の妻子をたずね、昔、猟師であった老人の弔いをしていると、その亡霊が現れ、殺生した罪により、地獄の責めを受けることからの救いを求めます。

解 説

この曲は前シテが衣の片袖を舞台で本当にひきちぎり僧に渡して回向を頼み、僧がそれを妻に渡しに行き、本当に夫のものであると判り読経する部分、後シテが後世の報いも忘れ猟を再現し地獄の責めを受ける所と写実的な型が沢山あり、見所のとても多い曲です。

その「猟」の方法というのが酷いやり方なのです。親子の情愛を利用して親鳥の「うとう」という鳴き声を猟師が真似ると、子鳥が「やすかた」と答えてしまうそうです。その鳴き声を頼りに子を棒で叩いて捕まえるというのです。親鳥は血の涙を流し悲しみます。

また猟師がその血を浴びると死ぬので笠と蓑を必ず着けて猟をするらしいです。そんな恐ろしい事・・・そりゃ地獄にも堕ちます。

小書「外之浜風」はキリの謡が常の凄惨な謡から変わり、夢のように消えていく効果を上げます。

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