橋弁慶(はしべんけい)
Hashibenkei
ストーリー
かの有名な唱歌に、「京の五条の橋の上 大の男の弁慶が 長い薙刀ふりあげて 牛若めがけて斬りかかる」というのがありますが、この歌のもとになったのが、能「橋弁慶」です。
今は、五条の橋の上で「千人斬り」をしていた弁慶を、牛若丸がこらしめ家来にしたという説が一般的に知られていますが、能「橋弁慶」では、牛若丸が「千人斬り」をしようとしていたことになっています。
子供が大男を平伏させて家来にするというのは愉快な話ですが、後の義経の不運な最後を思うと、運命の哀れを感じます。
解 説
この能を息子と共演?競演?しました。「弁慶」(父=私))と刀にて戦い、打ち負かせ家来にする「牛若丸」(子方=息子)の役は台詞も所作も大変多く、そのとき6歳だった彼には少し早過ぎたかとは思いますが、二人で苦労しながら舞台に向け日夜稽古しました。
稽古中は、弁慶が勝ってしまうこともしばしばでした(笑)
このような曲を稽古していますと子方の稽古の難しさというものを痛感いたします。
子方を引き立たせ、演劇としていかに成立させるかというのは勿論のことですが、親子関係のあり方、稽古の仕方など、直面するたび考えさせられますネ
僕の父や師はどちらかというと理論的なことをあまり言わず、「そのうちに解るだろ」や、稽古回数や、「駄目!違う!」等による「体で覚える」というやり方だったように思います。
実際はいろいろ言われていたし、言いたかったのかもしれませんが、僕の才能の問題でまったく理解出来てなかっただけかもしれませんが(でも多分そうでしょう)。
先人の教えに加え、僕は彼には出来るだけ舞台上だけは厳しく接していき、そして僕の判りうるその曲の出来るだけ詳しい状況や意味などを教えていきたいなぁと現在のところ思っております。(かなり気の長く大変なことですが)
彼の「ふ~ん」とか「どうして?」とかのキラキラした反応を楽しんでいました。と、私の父もきっとそう思っていたのでしょうねぇ・・・