曲目

半蔀(はじとみ)

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Hajitomi

ストーリー

半蔀(はじとみ)とは、寝殿の板壁の一種で、上半分を外側へ押し上げられるようになっている蔀(しとみ)のこと。本曲では夕顔をからませた作り物を出します。花供養をする僧(ワキ)の前に若い女(前シテ)が現れて花を捧げ、ただ五条あたりの者とだけ名乗って消えていきました。

光源氏と夕顔の物語から、僧はその女が夕顔の霊であると感じ、五条へと訪ねて行くと、夕顔の花が咲く荒屋を見つけました。やがてその内より、半蔀を押し上げて女(後シテ)が現れます。女は、源氏との束の間の恋の思い出を切々と語り舞います。

そして夜の明けやらぬうちに、再び半蔀の中へと消えていきました。夕に開き、朝にしぼむ夕顔の花と女のはかない姿が重なります。

解 説

この曲は源氏物語の夕顔を題材にして、日暮れに咲き朝にははかなくなる花の命と人とを上手くオーバーラップさせて、花の精とも人ともいえぬほんのりした夢の世界を作ってある人気曲です。

夕顔の物の怪に取りつかれ変死するといった部分を全く隠し、光源氏との幸せな日々を懐かしみ淡々と語り舞を舞うはかない恋物語を楽しんでくださればと思います。また特徴的な半蔀の作り物もとても効果的な舞台を作っています。

小書『立花供養』では花瓶にいけられた生花を正面に出し、その影で見え隠れする可憐な夕顔の姿が一層の舞台効果を醸し出します。

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