曲目

巻絹(まきぎぬ)

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Makiginu

ストーリー

諸国から千疋の巻絹を奉納するよう帝の命が下され、都から巻絹を献上するため使者(ツレ)が熊野へ向かいます。途中音無天神に参詣し、冬梅の美しさに目を奪われ和歌を詠じるうち奉納の期日に遅れてしまいました。咎められた使者が縛められているところへ音無天神が憑依した巫女(シテ)が現れ、縄を解くよう臣下(ワキ)に言います。

使者の上の句「音無しにかつ咲きそむる梅の花」に、「匂はざりせば誰かしるべき」と巫女は下の句を答え、音無天神へ参った証拠と和歌の徳で罪が許され解放されます。巫女は神懸りのまま舞い続けますがやがて正気に戻ります。

解 説

この能は、ストーリー自体は簡単なので解り易いと思います。

見所は、神懸りした巫女が「言葉少なくして理を含む」和歌の有り難さを説き、三熊野の功徳(インドの東南にある金剛山よりの霊光が飛び来たり金剛界曼陀羅の霊地となった大峯山に対し、三熊野は胎蔵界曼陀羅、密厳の浄土であるということ、その他熊野には仏法護持の神々が数多く居られる)を述べつつトランス状態で舞い狂うところにあるでしょう。

また他の『神楽物』と違い、巫女を主体として直接神体を出していないところが特色でしょう。

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