曲目

野宮(ののみや)

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Nonomiya

ストーリー

諸国一見の僧が嵯峨野の野々宮の旧跡を訪れた。そこで榊葉を持つ一人の女(シテ)と出会う。女は昔光源氏が六条の御息所をここに訪れたのは今日の九月七日であり、その時の出来事により宮を清め神事をしているのですと語り、なおも女は御息所が源氏との愛も失い、傷心の御息所は姫宮に付き添い伊勢へ下向した事を詳しく語る。

そして、実は自分こそ御息所であると告げ鳥居の柱の陰に消える。(中入)僧が読経していると御息所の霊が網代車に乗って現れ、賀茂の祭りでの葵上との車争いで敗れたことの妄執を晴らして欲しいと懇願し、そして月下のもと昔を偲び舞う。やがて生死の道の迷う姿は神の意にそわないであろうとまた車に乗り立ち去って行く。

解 説

この能は前段の光源氏の愛を失った悲しさや後段の車争いでの屈辱はまさに妄執の輪廻となって生死の境を彷徨う姿を秋の静けさの中に表現していきます。同じ人物を扱った「葵上」とは対照的な描き出しにも注目です。

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