田村(たむら)
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能楽師 梅若基徳
kokaji
ストーリー
どうしようもなく困ったときは、やはり神頼みしかないですね。
小鍛冶三条宗近は、一条天皇より名剣を打つように命ぜられますが、優れた相槌がなければできないことと途方にくれ、稲荷明神に願をかけに詣でます。
そこへ童子が現れ、必ずや立派な剣が打てると明言し、日本武尊の草薙の剣の故事などを語り稲荷山へ消えて行きました。宗近が帰宅し鍛冶段を調えて祝詞を唱えていると、稲荷明神の使者である狐が現れて相槌を勤め、見事な剣が出来上がります。剣の表には小鍛冶宗近、裏に小狐と名を刻み、宝剣「小狐丸」を献上することができました。
解 説
この能の前段に登場する童子(少年)は、知るはずもない勅命を知っていて、その上名剣にまつわる様々の和漢の故事を述べ、鍛冶段の用意をして待てと言い残して稲荷山へ帰ります。
今回は「白頭」ですので、老人の姿で現れることが多いです(常の少年の時もあります)。後段は先ほどの少年(老人)が稲荷明神(キツネ)の姿で現れ、鍛冶師宗近と共同作業で名剣「小狐丸」を作ります。「白頭」は毛の色が白になり(常は赤)、全体に緩急がつき、神秘性、霊狐というのを強調します。